夢をあきらめずに

You may say I’m a dreamer. But I'm not the only one.

風待ち海 雨待ち島

辺野古 6/8

 

昨日フィリピン近海にあった熱帯低気圧が、朝には台風5号になっていた。

進路は少し東にそれて直撃ではないものの、沖縄へ近づいてくることは間違いない。

浜にカヌーを並べ始めたが、風はやや強く、このまま護岸工事は行われずに台風対策に入るのではないかとの見方もあったので、少し待機してなりゆきを見守ることとなった。

ぶるーの船が先行して様子を見に行く準備をしていると、護岸の上にダンプが続々と現れ、クレーンも動き始めた。

防衛局は護岸工事をやるつもりだ。

 

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台風が徐々に近づくにつれて、風も次第にあがってきて海上行動は午前中で打ち切らざるを得なかった。

この状況の中で、K4護岸工事のA,B,C三つのポイント全てで、捨て石の投入がさかんに行われていた。

 

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捨て石を海に投入し積み上げただけの状態では台風の波風には耐えられない。

捨て石の周りに被覆ブロックを積んでガードするか、せめて根固め袋材で覆うなどの台風対策処置が必要となってくる。

普通に考えるなら、台風の影響による風が強くなり始める前に、捨て石の投入を止めて、台風対策をするべきだ。

いつまでも捨て石投入を続けることは、それだけ台風対策する範囲が広がることになり、対応が天候悪化の後手に回れば、十分な台風対策が間に合わない可能性も出てくる。

印象としてはいつもより一層のハイペースで、全てのポイントにおいて護岸を伸ばすことに執着した沖縄防衛局の今日の工事状況は、異常だったと僕は思う。

作業現場の安全を常に蔑ろにする沖縄防衛局の姿勢が顕著にあらわれている。

 

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ryukyushimpo.jp

 

琉球新報の記事に掲載されたドローン空撮写真に衝撃を受けている。

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琉球新報記事より)

 

辺野古崎N3護岸の方から埋立て区域を撮った写真だが、この位置から見ると護岸工事ポイントAとBはほとんどくっついて見える。

実際にはまだ100mほどの間隔が開いた状態ではあるが、こうやって俯瞰で全体を見ると、もうほとんど閉じていると言っても過言ではない。

僅かに開いた護岸から流れ込む海水は囲いの隅々までは行き渡らないだろう。

既に場所によっては海水に淀みが生まれ、その周辺では水温や水質が変化し始めていることだろう。

魚みたいに移動することができない動植物は、悪化した環境のただ中に取り残されたかたちとなる。

例えばこの季節、晴天の日には気温30℃を超える日差しの強い沖縄で、運転席側の窓だけ開けた車の中に閉じ込められたら人はどうなるだろう?

それと同じようなことが海中で、もう実際に始まっている可能性は十分にある。

取り返しのつかない事態は日々じわじわと進行しているのだ。

 

危機的なこの状況をどうか周りの人に知らせて欲しい。

良き隣人と傲慢な侵略者

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朝、松田ぬ浜でカヌーを出す準備をしていると、軽装姿をした数十人の米兵が浜のゴミ拾いに現れた。

浜がそんなにゴミであふれていたわけではないので、有り余る人数の米兵だ。

彼らはもちろん善意から自主的にビーチクリーンをしているのではなく、上からの指示で動いている。

環境に気を配る良き隣人を演じるために。

その証拠に松田ぬ浜とフェンスを隔てた向こう側、キャンプ・シュワブの浜には米軍の水陸両用車がズラリと並べられていた。

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辺野古イノーで現在作られた護岸や仮設道路が海と砂浜を遮断したために、産卵期を迎え故郷の砂浜に卵を産みに戻ってきたウミガメは上陸することができずに彷徨っている。

そのウミガメにとって、この近辺にわずかに残された砂浜さえも米軍の水陸両用車によって奪われている。

砂浜を荒らし、海底の砂を巻き上げて茶色い濁った水の帯を描きながら、我が物顔で次々と海へ出ていく水陸両用車は、傲慢な侵略者の姿そのものだ。

良き隣人を装うビーチクリーンの偽善性が浮き彫りになって見えてくる。

 

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7月予定と言われていた埋立て土砂の投入が、8月中旬まで遅れるようだ。

 

辺野古、8月中旬にも埋め立て区域に土砂投入へ : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

しかし、土砂が投入されるまでもなく、護岸の囲い込みが閉じられてしまうと、中の水温は上昇し多くの生物は生きていられなくなる。

今日現場を見た印象では、最初に土砂が投入されると報道されている辺野古崎寄りの区域の護岸が閉じるまで、もう2週間くらいだと感じた。

 

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(クレーンの位置がK4護岸工事Cポイント。この護岸が写真右のN3護岸に到達するまで残り100m程度となっている)

 

土砂の投入が遅れることが、翁長県知事の埋立て承認撤回の判断をさらに鈍らせることにならないように願うばかりだ。

生命を守るための決断をするなら、あくまで護岸が閉じる前の撤回でなければならない。

 


5/31 K4護岸工事Bポイント捨て石投下

  

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(3カ所のK4護岸工事ポイントに立つクレーン。左からA,B,Cの順

辺見 庸 目取真 俊『沖縄と国家』より抜粋

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問題はなぜ基地に反対するのかということを「オール沖縄」の中で突き詰めてこなかったことにあると思います。県外移設というんだけど、県外移設でいいのか。その実現性はどれだけあるか。高江のヘリパッド建設にはどうして反対しないのか。那覇軍港は県内移設でもかまわないのか。自衛隊の配備強化にも反対すべきではないか。沖縄県民は基地の被害を受ける立場でもあるんだけど、同時に、イラクアフガニスタンで米軍に殺される側からすれば、沖縄で鍛えられた兵士たちが自分たちに銃を向けるわけです。それに荷担してきたという面もある。であるなら、基地をどこかに「移設」する、「引き取る」という議論ではなく、基地そのものを無くしていくために力を尽くすべきではないか。そういう議論をもっと重ねていく必要がある。宮古八重山、与那国の自衛隊強化を含めて、沖縄が抱えている基地問題辺野古にとどまらない。それに対応していかないと一点共闘の「オール沖縄」は限界を露呈してしまう。

 

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目取真さんの言葉が胸に突き刺さってくる。

今こそ私たちが抗う理由を深く掘り下げ、がっちり根をはり巡らせないと、県知事選も危うい。

引き抜かれて、軽く持っていかれてしまう。

命を守るための行動を

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アジサシが辺野古に戻ってきた。

毎年初夏になると渡ってくる小さく白い愛らしい鳥、エリグロアジサシ。

魚をめがけて一直線に海中へダイブしていく姿は機敏でとても美しい。

しかし、今年の辺野古イノーはアジサシの目にはいつもと違って映るだろう。

彼らが巣を作り卵を抱いて温める場所である通称シュワブ岩や辺野古崎の岩場は、基地建設埋め立て護岸工事の真っただ中にされてしまった。

僕らはこの季節になると、カヌーで辺野古イノーを横切る時には、アジサシの居る岩場には近づかないように注意をしていた。

人が寄っていくと親鳥は巣を放棄してしまうからだ。

護岸の上をダンプが行き交い、石材をゴロゴロ転がし、ユンボで叩いて護岸を形作っていく騒がしい現場の中へ取り込まれてしまった岩場に、アジサシはおそらくもう近づかないだろう。

基地が出来上がればシュワブ岩は埋められて滑走路の真下となり、そこに有ったことさえ分からなくなる。

 

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ウミガメも繁殖~産卵期を迎えている。

キャンプ・シュワブの敷地との境界を示す松田ぬ浜のフェンスから、辺野古崎まで続く海岸線の砂浜には、昨年もネットで囲って保護されている場所がいくつも有った。

ウミガメが産卵した場所だ。

ウミガメは数年おきに、生まれた浜に戻って卵を産むと言われている。

しかし、この半年で海を大きく囲い込む護岸の建設が進み、それと並行して海岸線に沿って工事資材を運ぶ車両が走る仮設道路が作られたために、ウミガメは産卵しに浜に上がることができなくなっている。

この一ヶ月ほど、辺野古の海では毎日のようにウミガメの姿を目にするようになった。

これほど頻繁にウミガメを見かけることはなかった。

生まれ故郷の浜に上がれなくなったウミガメが途方にくれて彷徨っているのだろう。

 

ここはジュゴンやウミガメにとって貴重な餌場でもある。

海草アマモが生い茂る海底には、数年前までジュゴンの食み跡が確認されている。

ところが、ボーリング調査や工事が始まり騒がしくなった辺野古、大浦湾にはもうジュゴンは寄りつかなくなった。

今は護岸工事現場を囲い込むオイルフェンスが、干潮時に波に揺られて海底を擦り、ちぎり取られたアマモがオイルフェンスの周りにたくさん浮いている。

 

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絶滅が危惧される生き物だけの問題ではない。

辺野古イノーは様々な魚、貝、カニ、ヒトデ、ヤドカリ、サンゴ、鳥、海草など、多様な命の生きる場所である。

十分に洗浄もされていない捨て石が海に投げ込まれることで、護岸周辺では海水は白く濁っている。

環境の悪化ですみかを追われ、捨て石に踏み潰され、毎日命が失われている。

 

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護岸工事による辺野古イノーの実害は他にもたくさんあるに違いない。

その一方で、『まだ基地建設全体の数パーセントしか工事は進んでいない、まだ取り返しのつかない事態にはなっていない』という楽観論が、基地建設に反対する人たちの中からも聞こえてくる。

日米両政府の傲慢な野望による基地建設計画全体を分母として、今の自然破壊の進行をカウントすることに意味があるとは僕には全く思えない。

たとえ1パーセントでも失われた命は戻らない。

自分の身体が不慮の事故で一部失われた時に、「たった何パーセント」だからと、気にもとめない人はいないだろう。

喪失の意味はパーセントでは表せない。

 

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現在、辺野古イノーでの護岸工事は1.5kmが捨て石と被覆ブロックの設置を終えている。

しかし、これは「護岸が1.5km完成した」のではない。

捨て石を積み上げ、被覆ブロックで覆っただけの現状では、護岸の完成状態よりも4mも高さが低い。

設計通りにL型擁壁と消波ブロックをさらに設置して、初めて護岸工事の完成となる。

高さが不十分な護岸の状態で、囲った内側に土砂投入をすることは、台風や高波の際に深刻な海洋汚染を招く恐れがあり、決して許されないことを強調しておきたい。

 

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このままのペースで護岸工事が進むと、あと一ヶ月前後では2ヶ所の埋立区域の護岸囲い込みが閉じられる。

護岸が閉じて外海と切り離されてしまえば、その内側は温度が上昇し環境が激変するはずだ。

そうなってしまうと、中の生き物の多くは死滅してしまうだろう。

護岸工事では線を引くような破壊だった。

しかし、護岸が閉じればオセロの駒が次々と裏返るように、ケタ違いの“面”の破壊が一気にすすむ。

その面積は2ヶ所の埋立区域を合わせると東京ドーム約8個分の広さに相当する広大な海域だ。

そこに生きる命の数を想像して欲しい。

辺野古イノーは大量虐殺が目前に迫った危機的状況にある。

 

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この日米両政府による野蛮な破壊行為をどうにかして止めなければならない。

その切り札と言えるのが沖縄県知事による埋め立て承認の撤回だ。

11月に県知事選をひかえ、様々な政治的駆け引きが渦をまいているようだ。

知事が承認撤回しても、政府が撤回を無効化するための法的措置を取るため、工事が止まるのはたった数日だとも言われている。

しかし、今必要とされているのは知事が先頭に立って、護岸が閉じられてしまう前に埋め立て承認撤回のカードを切って、命を守る姿勢を県民にはっきりと示すことだ。

もし、知事が撤回のタイミングを逸し、護岸が閉じられてしまえば、命を見殺しにすることになる。

沖縄県民が大切に守りぬいてきた大義のひとつである「命どぅ宝」を知事が見失う時、多くの県民は失望し心が離れていくことだろう。

工事が止まるのはたった数日だとしても、命を守るために知事があらゆる手段を尽くすなら、県民は必ず知事を支持して結束を深めるだろう。

 

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決断を迫られているのは県知事だけではない。

大量虐殺がカウントダウンされている今、この国に生きる私たち一人ひとりが重い決断を迫られている。

命が殺されようとしている時、【中立】は有り得ない。

命が殺されることを【止める】か、【止めない】か、どちらかの選択が有るのみだ。

冷静を装う【中立】は、殺されることを見過ごすことに他ならない。

 

命が失われてしまう前にしか出来ないことがある。

命を守るために今、一人ひとりが力を尽くそう。

 

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進むべき道を見失わないように

辺野古 4/21

 

第三土曜の海上行動集中行動日。

4/25海上座り込みでのカヌーデビューを目指しカヌー教室に通う人も含めて、37名のカヌーの仲間が集まり、賑やかな朝のミーティングとなった。

カヌーを浜まで運び降ろし始めたが、風が強く、波打ち際もかなり荒れている。

午後に向けて風はさらに上がっていき、昼過ぎには雲ゆきも怪しくなる予報だ。

 

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護岸工事のクレーンも強風で作業を見合わせている様子だった。

みんなで協議し、カヌーでの行動は中止し希望者のみ抗議船で現場を見に行くことになった。

船は一旦海へ出たが、波風がひどく、結局は船の運航も取りやめられた。

安全を確保出来ない状況であれば、それを押し切って海へ出ることはしない。

僕らは命を守るために行動しているのだから。

 

初心者向けのカヌー教室は、堤防で囲まれて比較的波が穏やかな浜テント前の海で行われた。

辺野古ぶるーへと新たに加わってくれる仲間たちに、とても期待している。

 

4/25に迫った海上座り込み行動の日も、同様に天候不良で海へ出られない可能性はある。

カヌーと抗議船の乗船者合わせて、200人を超える大きな行動となるが、天候判断については普段と変わらない。

もし、生憎の天気で海に出られなかったら、みんなでゲート前に座ろう!

カヌーや船で護岸工事現場に行けないのは残念だとしても、僕らの目的は違法な基地建設を止めることにある。

そのことを見失わないようにしたい。

 

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夕方は名護でのシンポジウム『サンゴ移植は環境保全措置となり得るか⁈』に。

人間の身勝手な都合で動植物を移動させたとしても、そのままの生態系が新しい場所の環境に根づくことはない。

移された先で大半の生き物は死滅してしまう。

命はそれぞれ、生きていくに適した環境の元で暮らしている。

そこに居るのには、ちゃんとした理由があるのだ。

環境破壊の罪を無かったことにするために、実績の伴わない“命の移植”を進めることは許されない。

詳しく知れば知るほど、自然を壊しながら守るふりをする傲慢な文明社会の顔が浮かび上がって見えてきた。

海も山も誰のものでもない。

私たちが生きいくために自然から命を頂くことが許されるのは、私たちが自然に寄り添い、大自然の一部として生きる時だけだ。

命を弄ぶ環境破壊は人間を大自然から切り離す。

自然の摂理からかけ離れていくその道には、滅びのシナリオしかあり得ない。

 

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(大久保 奈弥さんのお話はとても分かりやすく、研究者として辺野古の現状に対する静かな怒りが伝わってくるものだった)