プライド
ヤンバル西海岸の安和や塩川で
運搬船に昼間積み込まれた土砂が
夜中に沖縄最北端の辺戸岬をぐるっと回って
辺野古イノーを埋めるため
毎朝大浦湾に運ばれてくる
航路に近づこうとして
海保の高速ゴムボートに追われて
拘束されたカヌーの目の前
朝日に輝く水面を切り裂いて進む運搬船は
今日は4隻か6隻か
その土砂は多い時には10tダンプ1000台分近くの量になるという
採石場から大浦湾の護岸で陸揚げされるまでのプロセスを一通り見ると
これは寄ってたかってじわじわ殺す海の公開処刑であるということが理解できる
実際に海へ土砂が入れられる場面は
護岸の向こう側で見ることはできないけど
山を切り崩す作業員
ダンプ運転手
抗議者を押し退ける機動隊と警備員
運搬船の船員
運搬船の運航を手助けする海保と海の警備員
警戒船や作業船の船乗り
多くの人間が土砂搬送に
仕事として関わっている
褒められた仕事ではないが
彼らを怒鳴りつけ
或いは説得して仕事を止めさせたとしても
それだけじゃ何も変わらない
また他の誰かが代わりにその仕事をやるだけだ
根本の解決にはならない
ではそれらの仕事をやらせている
元をどんどん辿って行き着く安倍晋三を
総理大臣の椅子から引きずり下ろせば済むのか
それだって同じだ
それだけじゃ何も変わらない
また他の誰かが代わりにその仕事をやるだけだ
何故そうなるのか
それは我々の社会が歪んでいるからだ
どんな仕事であれ中身は問わず
臆面もなく要領良くこなし
人を食い物にしてでも
地位と金を得た者が大手を振って歩く世の中で
だったら自分もそうしないと負けるんだと
我々が次々に矜持を手放し欲望を取った時に
社会はすっかり歪んでしまったのだ
変えなければならないのは
歪んだ社会を構成する我々自身なのだ
我々がやるべき自らの改革はただひとつ
ウチナンチューであれ
少数民族であれ
有色人種であれ
セクシャルマイノリティであれ
貧困層であれ
非正規労働者であれ
ハンディキャップを抱えた者であれ
軍事基地や原発やダムを押しつけられる土地であれ
夜の街であれ
落ちこぼれであれ
よそ者であれ
女であれ
子どもであれ
老人であれ
誰かの命と尊厳が力で脅かされる時に
「バカなことは止めろ!」と
いつでも声を上げ
そうやって互いの矜持を取り戻すこと
たったそれだけだ