夢をあきらめずに

You may say I’m a dreamer. But I'm not the only one.

引く時は引く

辺野古 7/6

 

 松田ぬ浜からカヌーを出すと、フェンスひとつ隔てたシュワブの浜では水陸両車数台が間も無く訓練を開始しようとしていた。そこだけ切り取って見ればそれはどう見ても戦場の風景だ。戦場と市民の生活の場が隣接する、これが観光ガイドブックには載らない沖縄の実情だ。

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赤白鉄塔下の仮設道路建設地に来てみたら、前日の午後に持ち込まれた黄色いフロートが捨て石の山を取り囲んでいた。このフロートにはカーテンが付いている。防衛省の説明では海への石材投下時にまき上がる汚濁の拡散を防ぐつもりのようだが、どう見てもその効果は疑わしい。

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辺野古弾薬庫下のK9護岸の監視に向かった船からの連絡では、護岸の周りにテトラポットを設置する作業が行われたようだ。テトラを運ぶトレーラーが2度もパンクして作業は順調に進んではいなかったようだ。

 

仮設道路建設地では朝イチから捨て石を積んだダンプカーが次々とやって来て、捨て石のスロープの降り口に追加の捨て石をおろし、それをユンボが必要な場所へと移動させてスロープの道幅を広げていく作業が夕方まで続いた。石を動かすたびに猛烈な粉塵がまき上がる。捨て石が十分に洗浄されていない証拠だ。

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赤白鉄塔下の仮設道路建設

 

捨て石を広げては測量してスロープの傾斜などを何度も確認していた。

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午後、潮が引いてフロート付近の水深が浅くなり所々岩場が干上がって露出してくる。足首までもない浅い潮溜まりをよく見ると小さな魚がたくさんいる。岩場には小さな蟹も。この海は間違いなく多様な生物の住処なのだ。人間の都合で勝手に埋めていいはずはない。

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カヌーはフロートの周りにはりついて監視と抗議をしていたが、タイミングをみてカヌーから降りたメンバーが抗議のため一人また一人とフロートを跨いで内側に入った。すぐに海保に取り囲まれ、先へは進めなくなるが、強制的に排除されることはなかった。

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 十数分ほどだろうか抗議を続けていると軍警が現れてまた激しく恫喝を始めた。

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 軍警は米軍に雇われた民間警備員だが銃を所持している。昨年はカヌーメンバーを岩場付近から基地内に引きずり上げ8時間もの不当な拘束をした。一年以上経った現在もその拘束の法的根拠は全く示せないでいる。

拘束がいくら不当なものであっても、我々市民は拘束されることで様々な実被害を被ることになる。

故に軍警が出て来た場合には引く。

「自分たちが正しいのなら引くことはないじゃないか」と言う海保がいたが、彼は青信号を渡っている時に横断歩道に車が暴走してきても逃げないのだろうか?

いくら信号が青だと主張したところで、轢かれてしまったらオシマイだ。

 

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無駄を喰いものにする者たち

辺野古 7/5

 

嬉しい出来事がひとつ。『辺野古へカヌーを贈る会』の皆さんがカンパを集めて新しい軽トラックを寄贈してくれた。

今度の車ジーマーミ3号はオートマ仕様なので、多くのメンバーが運転出来る。

感謝しながら、大事に使わせていただきます。

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カヌーで辺野古側の赤白鉄塔前 仮設道路建設現場へ。
海上保安官十数名がフロートの内側に水に浸かりながら立って警備をしていたが、午前中にはほとんど作業は行われなかった。

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沖合には潜水調査の幟を立てた作業船が2隻ほど。前日にフロート内で潜水調査をしていたそうなので、その続きをするためカヌーが居なくなるタイミングを待って様子を伺っているようだった。

辺野古弾薬庫下のK9護岸で監視を行った船からの報告によると、テトラポットやまんじゅう袋材の設置が行われたそうだ。
ただいつもと違って、沖へと伸びていく捨て石の山の最先端にも袋材を昨日から置き始めたそうだ。
最先端を袋材で固めてしまうと、そこから先へ捨て石を投下して護岸を伸ばすことは出来なくなる。K9護岸の長さは約100メートルに達し、ここで一旦作業を止める可能性が出てきた。
K9護岸工事の着工とされた4/25の翌日、産経新聞の朝刊に実はこんな記事があった。

「政府は今回、北側の埋め立て海域で護岸造成を始めたのに続き、南側でも造成に入る。陸から海に向かって両手を伸ばしていくように護岸を造成する。
 来年1月までに北側では約100メートル、南側では約30メートルの護岸造成が進むと見込む。政府がその時期の造成規模を目標とするのは、移設反対派が現職の名護市長選を見据えているためだ。130メートルも護岸造成が進んでいれば移設問題は市長選の争点にならないと踏む。」

(元記事 http://www.sankei.com/smp/politics/news/170426/plt1704260018-s1.html

この記事が政府の腹づもりを代弁しているとすれば、北側(K9護岸)100メートルという目論見は達成したのでここで置いて、今後は南側のK1護岸30メートルを作るために必要な仮設道路の建設に全力を注いでくることになりそうだ。
K9護岸はお昼を待つことも無く作業を終えたとのこと。筋書き通りに進んでいるように思える。

しかし、実際にK9護岸が計画通りに100メートル完成したかと言うと、全くそうではない。

 

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設計図によるとK9護岸は捨て石の山を被覆ブロックで覆い、埋め立て後に外側となる北面には被覆ブロックの外にテトラポット(消波ブロック)を置くことになっている。
だが実際には捨て石の山を囲っているのはまんじゅう袋材だ。しかも、現在置かれているテトラポットは設計とは逆の南面のみ。

 

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(K9護岸 6/22撮影)


この点について、先日の沖縄防衛局との交渉において防衛局は現在の袋材とテトラポットの設置が台風に備えるための仮設置であると回答した。
つまり、全体の約三分の一にあたる100メートルも伸ばした護岸は、台風の季節が終われば、まずテトラポットを撤去し、その後捨て石の山の両脇に積んだ袋材を全て撤去し、捨て石の周りには改めて被覆ブロックを置き直し、その北側に消波ブロックを再設置するという。どう考えても無駄ばかりの、恐ろしく効率の悪い作業をするというのだ。
更に言えば、この被覆ブロックはまだ設計さえ終えていないということが分かっている。
これらの事実と先程の新聞記事を合わせて見てみると、全く準備が整ってもいないK9護岸の工事を手順はともかく見た目だけの既成事実として市長選までにとりあえず三分の一作って、名護市民に諦めムードを蔓延させようという意図だけで物事が進んでいることがよく分かる。
その結果として本来は必要のない作業、資材、といった無駄が生まれ、税金の無駄がどんどん膨らんでいる。
このことで得をするのは、基地建設利権に群がるごく一部の人間だけである。

 

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午後になって海保の警備配置に変化が見られた。フロートの内側の海上保安官の数をほぼ倍に増やし、フロートの外側にもゴムボートをズラリと並べた。何かが始まる雰囲気が現場に流れ、作業員、そしてクレーン車が現れた。
カヌーチームはフロートの外側で事態を見守った。

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作業員が捨て石の山に最も近いオイルフェンスを運び始め、クレーンで持ち上げた。オイルフェンスの撤去作業が終わり、クレーン車が動き始めた。そのまま帰って欲しいと願うが、そうはいかず、位置を移動した先で何かを待っている様子となった。

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海上行動のメンバー誰も先の予測がつかない。しばらく待つと、ユンボがフレコンバッグを運んできた。
何か夢のあるものが詰まっていれば良かったが、中身はK9護岸を囲っていたのと同じ黄色いフロートだった。

 

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またしても、こんな事で税金の無駄遣いを重ねるのだ。怒りが込み上げる。警備上は先程まで設置されていたオイルフェンスで十分なのだ。新しいフロートを導入する必要など何処にも無い。おそらくこのフロートの設置だけでも数百万円の税金が使われている。
このフロートが不必要であることについて、海上保安官は最もよく分かっているはずだ。
「自分たちの納めた税金がこんな風に使われていること、一握りの誰かの金儲けのために自分たち海上保安官が利用されていることについてあなたたちも怒っていいんだよ」と海上保安官に語りかける。頷いてくれる海保もいた。
この黄色いフロート設置に抗議するためフロートを越えようとするタイミングで、雷が近づき、船長判断で海上行動は打ち切りとなった。
悔しさで胸がいっぱいになったまま今日はカヌーを降りた。

 

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ひとつひとつ ひとりひとり

辺野古 7/3

 

突如発生した台風3号の影響で海上行動は中止。

こんな日は日頃手の届かない作業を手分けしてやる。

梅雨の長雨が海へ川のように流れ込んだことによって、辺野古側からカヌーを出す時の出発点である松田ぬ浜が大きくえぐれてしまい、カヌーを積んだ軽トラックの走行に支障が出ていたので、皆で土嚢袋に砂を詰めて道の整備を行った。

駐車スペースの周りの草刈りを黙々と一人でしてくれた仲間もいた。感謝。

 

その後、朝9時の車両搬入に間に合うようにゲート前へ。

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40数台が市民を強制排除で押しのけてゲート通過。

高江でも、同様に座り込みを排除しての搬入が行われたそうだ。

辺野古と高江の同日進行は初めてのことじゃないだろうか。

身体がいくつあっても足りない気持ちになるが、実際に一人の人間に出来ることは限りがある。自分に出来ないところは仲間を信じて託して、自分が現場に立つ時は来られない仲間の思いも感じながら共に行動をしたい。

出来なかったことを数えて後ろを向いて悔やむより、前を向いて出来ることをひとつひとつ探して行動し、積み上げていきましょう。

 

7月に入り、7/25海上座り込み行動の準備も忙しい。海に出られなかった日の時間を使って、具体的な準備や話し合いを重ねている。

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ひとりひとりの力を集めて大きな力に変えるこの行動を必ず成功させ、次の展望への足がかりにしたい。

夜の講演会後に少しお話出来たヒロジさんも「海上座り込み」という試みを気に入ってくれているとのことだった。

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新しいチャンネル

伊江島 7/1、7/2

 

一泊二日で援農へ。

とは言っても、僕のやったのはほとんど草刈りだけど。

灼熱の太陽の下で土をいじり、雑草と格闘する。

都会育ちの僕には土いじりすること自体がとても新鮮だ。

無心になって手を動かしていると、今まで僕の中で閉じていたチャンネルが開いていくのを感じる。

たぶんそれは人間がずっと親しんでいたのに、街をアスファルトで覆い、コンクリートの中に閉じ籠って暮らし始めた時に失ってしまったチャンネルなのだ。

キレイにパッケージされた大量生産の工業製品を次々に使い捨て、自然世界とほとんど乖離してしまった都会の生活に、僕はもう明るい未来図を描けないが、陽を浴び土と汗にまみれ、作物を育て、家畜を飼い、自然の摂理に寄り添って自然界の一部として命を頂いて生きていく暮らしには大きな希望を感じる。

野山や川、海といった自然を上から押しつぶす生き方を止め、自然の中にもう一度帰っていかねば人類はやがて行き詰まってしまう。

まだ漠然とだけど、そんな風に感じている。

 

また里に戻ってきたい。

 

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