立ち止まれば見えてくる
昨日は辺野古へ行ったが、強い南風でカヌーを出すことはできなかった。
抗議船に乗って辺野古〜大浦湾を監視。
ガット船が3隻大浦湾に入った。
6/12の工事再開以来、平均して毎日3〜4隻のガット船が大浦湾へ埋め立て土砂を積み込んで入っているが、それでも天候不良などで搬出量が少なくなることもあり、一日に必要な土砂量にギリギリの状態がしばしば起きている。
この日、安和桟橋は琉球セメント本来の業務に必要な石炭の積み下ろし作業に使われていて、土砂搬出はできなかった。また、塩川港も強風のため搬出作業を断念したとのことだった。
今朝も安和桟橋はまだ石炭船が作業中だった。
また、昨日は積み込みが無かったので、大浦湾に土砂を供給する運搬船は入らない。
(実際には、昨日以前に土砂を積み込んでいた美鍛丸の一隻だけは入ったようだ)
今日中に大浦湾は土砂切れ状態になることが予想されたので、辺野古には行かずに塩川港へ向かった。
明日、大浦湾へ入る土砂量を少しでも減らせば、土砂不足状態を長引かせることができるからだ。
塩川港へ着いてみると、今日も強風で作業は行われていなかった。
そうなると、今日も土砂の搬出は安和で石炭船の作業が終わるまで行えず、十分な量にはならないだろう。
安和では船での搬出はできないが、桟橋根元の琉球セメント構内に採石場からダンプで運んだ土砂を山積みしてストックする作業が行われていた。ストックが有れば、琉球セメント構内での移動だけで、桟橋のベルトコンベアに土砂が供給できるので効率がいい。土砂搬出を遅らせたいと願う側にとっては、このストックはなるだけ少なくさせたいのだ。
構内からのダンプの出口では、3,4人の抗議者が出口前の歩道を牛歩することで、ダンプの通行を遅らせていた。たった数人だが繰り返すことでじわじわと効果が現れて、構内に出待ちダンプの渋滞が起こっていた。
このような抗議者の知恵を絞った様々な行動の積み重ねで、何もしない時と比べて3割前後のダンプ通行量を減らせるそうだ。
これからの季節に炎天下で立ちっぱなしの長時間行動は体力的にかなりハードだ。参加者が多くなれば交代で休憩をとることもできる。少しの時間でも参加を呼びかけたい。
ダンプを待たせてゆっくり歩いていると、しまいには機動隊が「立ち止まらないでください」と背中を押して強制的に排除してくる。
しかし、辺野古新基地建設を全体として見るならば、「立ち止まる」ことこそが今必要なのだ。
先日、米議会では辺野古新基地建設計画に多くの懸念が示され、軟弱地盤や活断層の危険性、ジュゴンや珊瑚などを保護する環境面の問題など、立ち止まって計画をしっかりと見直すことが求められた。
これはアメリカの議会任せではなく、本来は日本全国からの声で日本政府に強く求めていくべきなのだ。
何故なら、この破綻が目に見えた基地建設が強行されることで私たちが失うものは、米国が被る不利益とは比べものにならないほど大きいからだ。
#全国から辺野古基地建設を止めよう
6/16〜19 海の写真
6/16安和 琉球セメント。近くの採石場からダンプで運ばれてきた埋め立て土砂が、ここで桟橋へと伸びたベルトコンベアに投入される。
UFOらしきものが写っているが、気にしないでおこう。
6/16安和。以前はセメント積み込みは旧桟橋、土砂積み込みは新桟橋と分けていたが、老朽化した旧桟橋が使用不可となったため、新桟橋先端でセメント船の積み込みをするようになった。2隻の巨大な運搬船がかなり接近して着岸していて、危険な気がする。
6/16安和。3873トン(つまり10トンダンプ387台分)の土砂を一度に積める巨大なガット船(運搬船)。このような大きなガット船が現在は19隻体制で安和桟橋、塩川港と大浦湾を行き来している。輸送費が莫大な金額であることは間違いない。
6/16安和。ベルトコンベアからガット船に積み込まれる埋め立て土砂。見るからに赤土混じりの劣悪なものだが、通常より高値で買い上げられている。
6/17安和。ガット船聖嘉(しょうか)からの「本船間もなく出航します」という警告アナウンスは106.9dBの爆音で繰り返された。こういった音の暴力は許されるものではない。
6/17安和。桟橋の沖には何隻もの運搬船が待機している。合計19隻の運搬船全てに乗組員が乗船している。その人件費もトータルすればかなりの額になるはずだ。
6/17安和。海保によって桟橋付近から排除されたカヌーメンバーは海保GBに乗せられる。桟橋へと向かってくる次のガット船を悔しい思いで見つめることとなる。
6/18辺野古。海を囲い込む護岸。
6/18辺野古。K4護岸のテトラポッド設置も残りわずかとなっている。
6/18大浦湾。この季節に戻ってくる渡り鳥ベニアジサシ。機敏に空を飛ぶ姿は思わず見惚れみるほど美しい。
6/18大浦湾。長島の切れ目、通称「ながなが」は辺野古崎から大浦湾への入り口にあたる。遠くに小さく見えるのは「マナヌ岩」。
6/18大浦湾。K8護岸へ着岸しようと接近するランプウェイ台船。安和からガット船で運ばれてきた土砂がこのような台船に積み替えられ、台船のスロープから乗り込んだダンプにユンボーで土砂を積む。ダンプは埋め立て地まで行って土砂をばら撒く。
6/19辺野古。K2,k3護岸。風が強くカヌーでの行動は中止。抗議船に乗り込んでの監視。
6/19大浦湾K9護岸。連日の強風で大浦湾への土砂供給が思うようにいかず、土砂切れになっていた。この状態になれば埋め立て作業が一時止まることになる。
6/19辺野古沖のマナヌ岩は「竜の頭」に見立てられている。辺野古漁港には竜宮の拝所があるように、辺野古の海は古くから神聖な海として信仰の対象であった。
6/19辺野古。テントの猫も暑さで眠ってばかり。
孤独なゴールキーパー
選挙や県民投票でいくら「辺野古新基地反対」の結果が出ても、新基地建設工事は止まることはない。
その度にマスコミは「沖縄の民意に背いて」みたいに書くけど、そんなの沖縄の民意だけで止まるわけないじゃないか。
戦後、全国にあった米軍基地は、次第に沖縄へと移設、集中化されて、それと共に全国にあった米軍基地問題は沖縄ローカルの問題に矮小化され、本土の人々の多くは、この国が今もなお実質的にはアメリカの統治下にあることをすっかり忘れてしまった。
米軍基地問題の矢面で孤軍奮闘することを強いられた沖縄は、サッカーに例えるならシュートの集中砲火にスーパーセーブを連発するゴールキーパーであり続けることを余儀なくされた。
だけど、いくら沖縄がスーパーセーブで民意を示しても、キーパーが頑張るだけでは試合に勝てるはずもない。
「沖縄は民意を示しているのに」と腹を立てる本土の人々は、かつて沖縄ほどの民意を示したことがあっただろうか?
「沖縄を応援しています」という人は、この試合の蚊帳の外の観客席にいるサポーターのつもりなのだろうか?
軟弱地盤と活断層の上に埋め立てて作る、破綻した基地建設計画に、莫大な税金を注ぎ込むことで、食い物にされているのは沖縄の人だけでなく、あなたも同じじゃないのか?
この基地がつくられることで敗者となるのは、日本全土ではないのか?
圧倒的に日本に負担を強いる不平等な日米地位協定は、沖縄だけでなく日本全体に適用される。
本土の人々は沖縄の人々と同様にアメリカに踏みつけられている被害者であり、尚且つ、沖縄に基地を押しつけ踏みつけにしている加害者でもある。
そして、多くの人はその被害性にも加害性にも無自覚だ。つまりは、自分がアメリカ(及びその属国である日本政府)との試合中であるという自覚も無ければ、キーパーだけに試合をさせているという意識も無い。
しかし、今次々と露呈している政治腐敗の数々を見れば、政府がいかに民を食い物にしているかということが分かるはずだ。
意味のない物、役に立たない物に、デタラメな理由をつけて税金を流し、一握りの者たちにだけ利権の旨みをばら撒いて政権維持の力としていく構造は、例えばアベノマスクと辺野古新基地を重ねてみればピタリと符合する。
全国の人々が、現実を見つめ、イマジネーションを働かせ、米軍基地被害を沖縄問題という呪縛から解き放って当事者となり、ミッドフィルダーはミッドフィルダーの、フォワードはフォワードの動きをする時にこの基地建設は必ず止まる。
全国の人が意識を変える、その絶好のチャンスが今きている。
#全国から辺野古基地建設を止めよう
未来は手の中に
作業員のコロナ感染で中断されて以来、約2ヶ月のブランクを経て、今日辺野古の埋め立て作業が再開された。
怪しげな企業が受注したアベノマスクが、小さ過ぎて、異物が混入し不衛生で、市販マスクが再び流通しだしてもう遅すぎ、どんなに役立たずで不要だとみんなが思っても、「何度も洗って使える布マスクはとても有効」だという政府が作ったでまかせのフィクションを人々が行動し押し返せなければポストに届けられる。
同じように、軟弱地盤や活断層の上に埋め立ててつくったとしても、完成後に地盤沈下で使いものにならない米軍基地も、「普天間基地の危険性除去のため唯一の選択肢」という政府の作ったでまかせのフィクションを世論が押し返せなければ、粛々と進められる。
しかし、この2ヶ月、工事作業はただただ足踏みしていただけだが、コロナ対応の不手際や検察庁法改悪など国会では様々な政府のデタラメが暴かれ、自粛期間の家籠りで多くの人がその政府の不誠実、欺瞞を目にし、声をあげ始めている。人々の意識が2ヶ月前とくらべて一歩も二歩も前に進んだことを実感している。
もう流れは変わりつつある。でまかせのフィクションを押し返すチャンスがきている。ものにできるかどうかは、真実が見えている私たちの行動次第だ。
ハートに火をつけて
辺野古埋め立て作業の再開が迫ると報道されているなか、ブランクのあいている海上行動も再始動への肩慣らしとしてカヌー練習を行なった。
2ヶ月近く作業が行われていない辺野古には渡り鳥のアジサシが少ないながらも戻ってきていた。
松田ぬ浜から辺野古崎までの行き帰り、カヌーを漕いで何匹ものウミガメを見かけた。水中に目を凝らすと、彼らの餌場である藻場が見える。
大浦湾では2月と3月にはジュゴンの鳴き声と思われる音が記録されていたそうだ。工事が止まって運搬船の出入りが無くなって静けさを取り戻した大浦湾には、今日もジュゴンが戻ってきていたのかもしれない。
この平穏な海を少しでも長く保ちたい。
そう思っていると、キャンプ・シュワブ上空に轟音をあげながら、儚い願いを嘲笑うようにオスプレイが飛来した。
長らく羽地内海で待機を続けてきたランプウェイ台船、屋部3号と5号が北へと移動を始めた。
夕方6時過ぎには古宇利島のハートロックのあるティーヌ浜の前に停泊していた。
北回りのルートで、明日にも大浦湾に入って、運搬船で運ばれてきた埋め立て土砂を受ける作業にあたるのだろう。
政府による辺野古基地建設の暴挙を沖縄の現場だけで止めることはできない。
利権にまみれ、コロナ感染防止に役立たずなアベノマスクが配られるのを止めるには、家のポストの前で阻止するのでは遅過ぎるのと同じだ。
沖縄が力を尽くして作業を遅らせている間に、全国の声を集めて政権に圧力をかけ、政治的に断念させるしか実質的に止めることはできない。
利権をむさぼり続ける政権の腐敗が、コロナ禍で次々と露呈している。その最も露骨に現れている現場のひとつが辺野古新基地建設なのだ。
「沖縄を応援しています」という善意の言葉が、どれだけ的外れかということに、そろそろ誰もが気づかねばならない。