夢をあきらめずに

You may say I’m a dreamer. But I'm not the only one.

束の間の重み

辺野古 3/17

 

第3土曜の海上の集中行動日という、新しい試みに28人のぶるーの仲間が集まってくれた。

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月曜日に起きたカヌーと海保GBの正面衝突事故で頸椎捻挫した仲間も参加したかったろうが、身体の復調を待ってまだ休養に専念している。

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現場に着いてからは側にGBが来るたびに、「お互い怪我の無いように。安全を第一に」と何度も声をかける。

安全な抗議行動、警備について何人かの海保とはじっくり言葉を交わす時間ももてた。

彼らの論理からすれば、カヌーがオイルフェンスの内側に入らなければ事故は起こらないということなのだろうが、我々にすれば目の前で美ら海の命が殺されているのを指をくわえて見ていることはできない。

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ましてや、それが違法な工事であり、できあがるのは他国によって押しつけられた軍事基地であり、それがこの島に再び戦を呼び込むものであるのだから、飛び込んで行って止めるのは当然の行動だ。

海保が上からの命令によって現場の警備にあたらねばならないのは理解できる。

彼らの多くがそれを良しとして任務についてはいないことも、何度となく顔をつきあわせる中で感じている。

僕らは非暴力という理念に基づいて行動する。

仲間にしろ、海保にしろ、現場に居る誰かが怪我をするような事故を起こしてでも工事を止めたいとは誰も思っていない。

僕らは命と自由を守るためにそこに来るのだから。

サッカーでもバスケットボールでもそうだが、どんな上手いディフェンダーでも、ボールを持った選手にかわされて抜かれることはある。

その時に安全を蔑ろにするリスクを冒して止めようとするから事故が起こるのだ。

ファールで止めてはいけない。

真剣勝負で抜かれた時は潔く負けを認めて、カヌーを先に行かせればいい。

それがフェアなやり方だ。

目先のカヌーを捕まえることにとらわれず、海保には安全を最優先にしたフェアな警備を強く望む。

GBをかわしたカヌーが作業現場に近づきクレーンが止まったとしても、せいぜい数分から十数分のことだ。

作業全体の流れから見れば、ほんの束の間にしか過ぎない。

しかし、僕らにとっては、その数分の意味は限りなく重い。

それは捨て石によって踏み潰される命が数分間生きながらえるための時間であり、圧政により未来が壊されるのを食い止める数分間である。

だから、たった数分のために僕らは何度でも真剣勝負を挑むのだ。

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生憎の向かい風もあって、28艇のカヌーでも今日は作業を止めることができなかった。

集中行動日に集まった28人が今日の思いをそれぞれ持ち帰り、どう日常の行動につなげていくのかが鍵となる。

海は毎日着々と壊されているのだから。

 

カート・ヴォネガット『国のない男』より抜粋 その4

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悪しき指導者は絶大な力を持っていた。そして彼らはふたたび勝利したのだ。まさにばい菌だ。指導者たちは自分たちの本音も明らかにした。それを今日のわれわれは正しく認識すべきだと思う。彼らは人の命を救うことなんかにはまったく興味がない。彼らにとって重要なのは耳を傾けてもらうことだ。素直に聞いてくれる人がいる限り、それがどんなに愚かな内容であっても、彼らの考えはどこまでもどこまでも続いていく。もし彼らが憎んでいるものがあるとすれば、それは賢い人間なのだ。

だから、賢い人間になろう。そしてわれわれの命を救い、みんなの命を救ってほしい。誇り高くあってほしい。

カート・ヴォネガット『国のない男』 より抜粋 その3

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音楽に話を戻そう。音楽のない人生よりも音楽のある人生のほうが楽しい、という人がほとんどだろう。軍楽隊の演奏であっても、平和主義者のわたしでさえ、聞くと楽しくなってくる。わたしはシュトラウスモーツァルトなんかが大好きだが、アフリカ系アメリカ人がまだ奴隷の頃に全世界に与えてくれた贈り物はとても貴重だ。この音楽こそ、いまでも多くの外国人がわれわれのことをほんの少しは好きでいてくれる唯一の理由だといってもいい。世界中に広がっている鬱状態によくきく特効薬は、ブルースという名前の贈り物だ。今日のポップ・ミュージック➖ジャズ、スウィング、ビバップエルヴィス・プレスリービートルズストーンズ、ロックンロール、ヒップホップなどなど➖すべてはこのブルースがルーツといっていい。
(中略)
アルバート・マリといういい作家がいる。ジャズ史に詳しい、わたしの親しい友人だ。彼からこんなことを聞いたことがある。アメリカの奴隷時代➖われわれは当時の残虐な行為から完全に解放されることは不可能だろう➖、奴隷所有者の自殺率は、奴隷の自殺率をはるかに超えていたらしい。
マリによれば、その理由は、奴隷たちが絶望の対処法を知っていたからだということだ。白人の奴隷所有者たちにはそれがなかった。奴隷たちは自殺という疫病神を、ブルースを演奏したり歌ったりして追い払っていたのだ。マリはほかにも、なるほどと思うようなことを言った。ブルースは絶望を家の外に追い出すことはできないが、演奏すれば、その部屋の隅に追いやることはできる。どうか、よく覚えておいてほしい。
外国人がわれわれを愛してくれているのはジャズのおかげだ。外国人がわれわれを憎むのは、われわれがいわゆる自由と正義を押しつけようとしているからではない。われわれが憎まれているのは、われわれの傲慢さゆえなのだ。

 


Elmore James - It hurts me too (lyrics)

カート・ヴォネガット『国のない男』より抜粋 その2

人間はここまで来てしまった。かく言うわたしも同様だ。この産業社会はすでに絶望的なまでに化石燃料に頼りきっている。そしてもうすぐそれがなくなってしまうという。このドラッグをいきなり絶ったときの禁断症状はどんなだろう。
ここで本当のことを言ってもいいだろうか。これがTVのニュースなら遠慮するところだが、そうじゃないから言わせてもらおう。じつは、だれも認めようとしないが、われわれは全員、化石燃料中毒なのだ。そして現在、ドラッグを絶たれる寸前の中毒患者のように、われわれの指導者たちは暴力的犯罪を犯している。それはわれわれが頼っている、なけなしのドラッグを手に入れるためなのだ。

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カート・ヴォネガット『国のない男』より 抜粋

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「進化」なんてくそくらえ、というのがわたしの意見だ。人間というのは、何かの間違いなのだ。われわれは、この銀河系で唯一の生命あふれるすばらしい惑星をぼろぼろにしてしまった。それも、この百年ほどのお祭り騒ぎにも似た交通手段の発達によって。うちの政府がドラッグに戦いを挑んでいるって?ドラッグよりガソリンと戦ってほしい。われわれの破壊中毒こそが問題なのだ!車にガソリンを入れて、時速百五、六十キロで走って、近所の犬をはねて、徹底的に大気を汚染していく。ホモ・サピエンス(知恵ある人)を自称していながら、なんでそんなめちゃくちゃをする?さ、この地球をぶっ壊そうぜ。だれか原子爆弾を持ってないか?そんなもの、いまはだれだって持ってるって。