燃えさかる炎
今年も残り1ヶ月をきって
昨年末から始まった辺野古の土砂投入がらみの暦が巡ってきた
12月3日 安和の琉球セメント桟橋から土砂搬出が始められた日
12月14日 辺野古の美ら海に初めて土砂が投げ込まれた日
大きく結集を呼びかけた
海での行動が続いた
「あれから一年」と
メディアはそれなりに大きく扱ったが
どの記事を見ても
埋め立ての進捗状況は「まだ1%」との文字が目につく
県知事も「まだ1%」を強調している
しかしカヌーや船で現場の海に出ている者は知っている
ジュゴンの餌場であった藻場がどれだけ失われたかを知っている
護岸に阻まれて産卵する浜に上がれず彷徨うウミガメの姿を知っている
毎年アジサシが巣を作って雛を育てる岩場が埋め立て区域に取り込まれ
もう近づけないことを知っている
保全を装うデタラメな移植によって殺された珊瑚のことを知っている
日々土砂が投げ込まれている海には数えきれないほどの種類の小さな生きものが生きていたことを知っている
もう生き物はじゅうぶんに住処を奪われ
命は毎日殺されていることを
僕らは知っている
奴らが描いた企みを分母にした「まだ1%」に何の意味があるだろうか
その1%に数えられたひとつひとつの命はもう戻ることはない
その命にとっては100%の喪失だ
辺野古の海が全て埋められてしまった時には
沖縄の海のたった数%が埋められたに過ぎない
と言うのであろうか
沖縄県民140万人が基地被害に日々苦しんだとしても
それは日本人全体の1%ほどでしかない
そうやって米軍基地問題は
沖縄という遠い南の島の小さな問題に封じ込められてきたのではないか
今日僕は首里城に行ってきた
沖縄に住んで4年近くになるが
いつでも行けると思ってまだ一度も行っていなかった
写真で知る美しい朱に染められた正殿を僕は見ることができなかった
そこは火事跡の瓦礫の山がまだ生々しく焼け焦げた臭いを微かに放っていた
焼け落ちてしまった沖縄の宝
だが、首里城は人々の願いと力の結集によって近い将来に再建されるだろう
しかし、もうひとつの沖縄の宝、辺野古・大浦湾の海は
失ってしまえば人々の力では取り返せない
既に失われた命は戻ることはない
辺野古は今まさに燃えている
炎は日に日に勢いを増し広がっていく
それが一年続いているのだ
今日殺された海を私たちは生きている間に
もう二度と元の姿で見ることは叶わない
これは自然災害や事故による火事ではない
火をつける奴らがいるのだ
火を消そうとその場に近づく我々を力で遠ざける奴らがいるのだ
どうすれば火を消せるのか
火をつけているのは誰なのか
この炎はどこまで燃え広がるのか
「まだ1%」の後に隠された
「だから大丈夫」に逃げ込んだ人たちは
何%まで燃えたら腰を上げるのか
辺野古の海は燃えている
それは私たちの未来が燃やされているということでもあるのだ