【『いのちの海 辺野古 大浦湾』上映&トーク】に寄せて
今夜、東京 三鷹で『いのちの海 辺野古 大浦湾』上映&トークが行われた。
沖縄にいる僕は会場にかけつけることは出来なかったが、この上映会を企画してくれた友人にメッセージを送り、代わりに読みあげてもらった。
この国、特に本土で暮らすみなさんに、今僕が伝えたいことを込めて書いたつもりです。
上映会を開いてくれたジャックさん&ちかこさん、トークの時間に海上行動の様子を伝えてくれたみおちゃんに感謝します。
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『いのちの海 辺野古 大浦湾』上映&トークへお越しの皆さま、こんばんは。
2014年からカヌーチーム辺野古ぶるーに参加している、ヤマサキ タヲルと申します。2年前からは地元の神戸を離れ、沖縄県名護市に移り住み、働きながらカヌーメンバーとして辺野古新基地建設への抗議行動を続けています。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、辺野古ではつい先日、埋立て区域の一部が護岸で囲われてしまいました。ドーム球場1.3個分ほどの面積になるそのサンゴ礁には、多様な生き物が数多く住んでいます。外の海から切り離されたことにより、水温や水質が変化してしまい、その海域に取り残された生命の多くはもう生きてはいけないでしょう。
国は来月、そこに土砂を投入する「埋立て工事」を開始するとアナウンスしています。
危機的な状況ではありますが、この「埋立て工事」は本来の設計手順や、工事の違法性を指摘し工事中止を求めた県の行政指導を無視しながら、とにかく急いで「埋立て土砂投入」という既成事実を作り、県民をあきらめさせようとするデタラメな工事です。
正しく情報が伝わり、多くの市民の目がそこに注がれたなら、とてもまかり通ることはないと確信しています。
沖縄に過重な基地負担を強い、かけがえのない自然環境をためらうことなく破壊し、軍事に税金を湯水のごとく注ぎこみ、子どもたちの未来に戦争の影を落としているのは、私たちの国の政府です。
一方で国は、福島の放射能汚染地域に避難者を戻らせ、経済界の望むがままに労働環境を改悪し、戦争できる国への道づくりを着々と進めています。
これらは、個別の「沖縄問題」、「福島問題」などではありません。私たちがいくら無関心でいようとも、当事者であることを逃れられない「この国の問題」です。
どうか「沖縄を支援しよう」、「沖縄を応援しよう」とは思わないで下さい。
少し厳しい言い方かもしれませんが、沖縄を助けようとする立ち位置には、問題の当事者であることをやめてしまっている側面があります。
どうにかしないといけないのは、沖縄や福島ではなく、この国全体なのだということを、沖縄に暮らし始めてから強く感じています。
憲法12条には次のように書いてあります。
『この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。』
「不断の努力」とは何でしょう?
まずは知ること。
そして、それを周りの人に伝え、行動につなげていくことだと、僕は思います。
難しく考えず、今日見聞きしたことを、家族や友人に話してみてください。
「今度の休みはどこにいこうか?」という話の延長線上に、「どんな社会や、どんな未来を築いていこうか?」というテーマもきっとあるはずです。
未来は私たちの手の中にあります。
夢をあきらめずに、それぞれの場所で、それぞれのやり方で、不断の努力を続けていきましょう。
お時間を頂き、ありがとうございました。
山崎タヲル