生命の尊厳と自由を愛する皆さんへ
辺野古 6/25
【辺野古埋め立て許さない 第4回 海上座り込み】に多くの皆さんが参加してくれた。
呼びかけをした一人として、参加者の皆さんに感謝します。
行動全体の評価や反省は後日、仲間と振り返るとして、県知事に埋め立て承認の早期撤回を求める決議を、今まさに護岸の囲いが閉じられ土砂投入が始まろうとしている現場からの要請としてあげたことには、大きな意味があると感じている。
午前中の行動の終盤に雷雲が近づき、午後に予定していた陸と海の連帯集会は中止となった。
連帯集会で、カヌーチームのメンバーとして発言させて頂く予定だったが、雨から逃れてテントの中で主に海上行動参加者への発言となった。
伝えたいことが様々あり、発言者として手を挙げたので心残りな所もある。
テントでの発言で割愛した部分も含めて、元の原稿をここにあげておくことで、誰かに読んでもらえれば幸いである。
『4.25 浜の連帯集会 スピーチ原稿』
皆さんこんにちは。
山崎タヲルといいます。
浜の集会にお集まり頂き、大変に心強く感じています。
カヌーチームの一員として心より感謝致します。
今日は、ここにおいでの皆さんだけでなく、今この場にいない、日本全国で暮らす皆さん、そして、全世界の「生命の尊厳と自由を愛する皆さん」にも向けて、メッセージを伝えたいと思います。
今この辺野古の海は毎日毎日少しずつ殺されています。
4年前の夏、最初は海底に穴を開けるボーリング調査という[小さな点]の破壊が始まりました。
それが重さ数十トンのコンクリートブロックという[大きな点]の破壊に変わり、 海へ捨て石のラインを伸ばす護岸工事では[点]から[線]の破壊になり、 現在は護岸で埋立区域を囲うという、[面]の破壊が始まりつつあります。
やがて基地が作られてしまえば、滑走路から軍用機が飛びたち、このあたり一帯の[空間] が破壊され、 それは戦を呼び込み、私たちが暮らす一つの[時代]をも破壊することになるでしょう。
浜からも見えるあの護岸は、完成しているように見えるかもしれませんが、本来の設計の高さより6mほども低い状態、まだ製作途中段階の不十分なものです。
この状態で来月から土砂を囲いの中に入れていけば、台風や高波の時に土砂で濁った水が外へ流れ出てくることは目に見えています。
手順を守らず、環境を著しく破壊する土砂投入を許してはいけません。
護岸のあたりはジュゴンの餌となる海草が生い茂っていますが、ジュゴンはもうこの騒がしい海へは来なくなっています。
産卵期を迎えたウミガメは今、卵を産むために戻ってきています。
しかし、護岸や海岸線に沿って伸ばされた仮設道路によって故郷の浜に上がれず、上陸できる場所を探してウロウロ彷徨っている姿を毎日のように見かけます。
このあたりの岩場で巣を作り、雛を育てる渡り鳥のアジサシも工事区域周辺の岩場にはもう近づくことができません。
大小さまざまな珊瑚も移植して保全する計画になっていますが、たとえ移植しても新しい環境に定着することが出来るのはごく一部であり、大半は死んでしまうので珊瑚の保全にはならないそうです。
護岸の囲いの内側にはそういった希少な生き物だけではなく、色とりどりの小さな魚、ヤドカリやカニたち、名前も知らないたくさんの貝類、モズク、アマモといった植物などなど、 多様な命が生きていることを、僕らは実際に目にして知っています。
護岸の囲いが閉じられてしまえば、そこは外海と切り離されて、もう海ではなくなります。
水温や水質は激変し、内側にいた生き物の大半は死滅してしまうでしょう。
この多くの命を守るため、翁長知事には護岸の囲いがまだ閉じられていない今すぐにでも 「埋めたて承認撤回」をして頂きたいです。
県知事選挙を秋に控え、様々な政治的駆け引きがあるとは思います。
しかし、命を守る行動こそが、政治的な主義主張や立場を越えて、多くの人々の共感を得ることが出来るはずです。
辺野古で普天間基地の代替基地建設に抗う行動は、1997 年に始まった「命を守る会」の座り込みが原点であると聞いています。
翁長知事がその原点に戻り、「命どぅ宝」を掲げて、先頭に立って国に抗う姿勢を示せば、人々の結束は再び高まるのではないでしょうか。
是非とも、命を守るために決断をして頂きたいです。
沖縄に過酷な米軍基地負担を強いているのは、この国全体の政治的な状況だということを、 沖縄に住んだこの2年間で、僕はより一層強く感じています。
本土に生まれ育った僕は、沖縄を変えるのではなく、沖縄を支援したり応援したりするのでもなく、この国の政治のあり方を当事者の一人として変えていかなければならない、そのことが沖縄の基地問題を解決することになると思います。
ちっぽけな一人の人間に何ができるんだと笑われるかもしれません。
しかし、いまこの瞬間から僕たちが日々の行動と意識を変えたなら、世界の一部は確実に変わったことになります。
僕らは世界を変えることができるんです。
信じて下さい、未来は僕たちの手の中にあります。
夢をあきらめずに、この愚かな基地建設をやめさせるため、それぞれの場所で、それぞれのやり方で、日々の行動を続けていきましょう。
ありがとうございました。