夢をあきらめずに

沖縄暮らしの記録

村井吉敬『エビと日本人II __暮らしのなかのグローバル化』から抜粋

f:id:yamasa-kick:20180616231401j:image

 

 町としては小さいがコレムの町のことを思い出して、スマトラ島沖地震津波を考えた。先に見たように、都市が津波を「怪獣のような殺人流体」に変えるのではないだろうか。マングローブ林伐採で、がら空きになった海から、都市のあらゆる芥(あくた)を押し流してきたのが津波であった。そしてマングローブ林の伐採は、エビ養殖と直結していたのである。

 

 

 

 東南アジアの海辺のマングローブ林から産出される輸入木炭の問題はわたしたちの暮らしに大きな原因がありそうだ。日本人が養殖エビを大量に輸入し、それをマングローブ木炭で焼き、ひたすら「美味しんぼ」する。しかし、せっかく「美味しんぼ」をしても、一方で従来日本で木炭の原料であったナラ、カシなどの広葉樹に代わって植えられたスギやヒノキのせいで花粉症が蔓延する。このような構図こそ「金満日本」の縮図なのかもしれない。アチェ津波、エビ養殖、マングローブとつないで見える構図に日本が大きく影を落としている。

f:id:yamasa-kick:20180616231312j:image

 

 

 

 世界の交易を支配しているのは世界規模のグローバル・コングロマリット(世界規模多国籍企業)である。世界最大のスーパーマーケットであるウォールマートで売られるTシャツは、韓国企業がインドネシアで低賃金を利用して生産している。世界ブランドのナイキのスポーツシューズもインドネシアベトナムの低賃金労働の上に成り立っている。もっとも大きな交易品である石油は誰が掘って、誰が儲けているのか。石油企業ロイヤル・ダッチ・シェル社の2004年の売上高は会社としては世界最高で269億ドル、エビ貿易額99.9億ドルの2.7倍にもなる。気の遠くなるようなグローバル大企業を前にすると、フェアトレードだけでは到底勝ち目はないと思わざるを得ない。が、しかし、にもかかわらずロイヤル・ダッチ・シェルの社員であれ、ナイキの社員であれ、ウォールマートの社員であれ消費者であることに変わりはない。世界のほとんどすべての人は、カネでモノを買う消費者である。消費者が消費の意識・行動を変えれば世界の交易のパターンは変わるのである。そう思う以外にない。

 

 

世界を見渡し、日々の暮らしを振り返り、どちらへ向かって未来を築いていくのか思い悩む時、ヒントになることがこの本にはいくつも書かれていた。

意識と行動を変えれば世界は変えられるのだ。

少なくとも、自分が変われば、76億分の1は確実に変わったことになる。