後戻りのできない道
辺野古 1/6
2018年の僕のカヌー始め。
今日はドクロ前K1護岸の工事は行われておらず、シアター前のN5中仕切り護岸にカヌー11艇と抗議船3隻で挑む。
海保のGBはカヌーの数より多く、オイルフェンスの囲いの内側を自在に動き回り僕らの行く手を阻む。
各GBには3〜6名の海上保安官が乗船し、浜や護岸の上でも十数名の海上保安官が待ち構えている。
抗議船のクルーを合わせてもたった16人の抗議者に対して、トータル60〜70くらいの海上保安官を投入しての警備態勢。
装備面を比較してもエンジンをふたつ搭載した高速ゴムボートと手漕ぎの小さなカヌーでは、力の差は歴然としている。
更に彼らは国家権力を与えられている。
彼らが暴力的な排除でケガ人を出そうが、抗議船を破損させるような手荒い制圧をやろうが、ほとんどは不問にされてしまう。
僕らは非暴力での抗議行動を共通の理念としているが、身を守ろうと構えた手足が誤って海保の身体に当たったとしても、公務執行妨害に問われる可能性は十分あり得る。
この力の不均衡な状態で小さなチャンスを探して動き回り、隙をついてオイルフェンスを越える。
運良く数メートル進めたとしても、その先には更にオイルフェンス二つの壁が護岸から僕らを遮っている。
(護岸は3重オイルフェンスで囲われている)
カヌーがGBから飛び込んだ海保に取り押さえられても、僕らはカヌーから飛び込んで泳いで、少しでも現場に近づこうとしてきた。
乗り手と離れたカヌーは当然波に流されていくことになるが、昨年末より海保は突如「オイルフェンス内でカヌーから飛び込んだために乗り手のいなくなったカヌーは放棄されたものと見なし、回収しない」という嫌がらせを始めた。
たとえ2,3メートルという目の前にカヌーが漂っていて、僕らがカヌーを放棄したのではないと、その所有権を主張して回収を強く求めても、彼らは僕らの身体を拘束しカヌーから遠く引き離す。
オイルフェンス内なので、このカヌーを自分たちで回収することは、運良くオイルフェンスの外側から手の届く場所に流れつかない限り不可能だ。
「流されたカヌーについては放棄されたものと判断し、海上保安庁は関与しない。返還は防衛局に求めてくれ」というのが彼らの言い分だ。
しかし、昨年の4/25のK9護岸工事が始まって以来、同様に抗議者がカヌーから離れるということは頻繁に行われてきたし、カヌーの回収と返還を求めればその都度海保は対応してきた。
この突如の方針変更については全く納得のいく説明がなされたわけではない。
防衛局に返還を求めればカヌーが戻ってくるとはいえ、それは当日ではなく翌日以降のことになる。
別のカヌーをテントから運んで準備するにも時間がかかり、抗議行動の時間は大幅に奪われる。
とにかくそうやって小さな嫌がらせをして、僕らを現場から遠ざけることが目的だ。
このことからも、海保が辺野古の海では「海の安全」を守る仕事をしているのではなく、「工事の進行」を守る仕事をしているということが分かる。
僕らは違法に進められている工事を止めようとしているのだから。
この常軌を逸した過剰警備に守られることによって、海を殺し、子供たちの未来をつぶす埋め立て工事が強行されている。
この国は後戻りのできない道を歩もうとしている。
止めることができるのは市民の力だけだ。
(辺野古崎付近の浜では資材搬入や重機の行き来の為に使われる仮設道路敷設のための調査と思われる作業が行われていた)