楽園は何処にあるのか?
辺野古 7/28
カヌー9艇は2班に別れ、うちの班は赤いドクロ前の監視へ。
オイルフェンス周りには漂着したゴミが溜まっている。
浜にはたくさんの人が。
どうも米兵がビーチのゴミ拾いをしているようだった。
ゴミが流れ着くのはウミガメが産卵する浜だ。
カヌーが71艇集まって抗議をした25日には、その浜を米軍の水陸両用車が我々を威嚇するように砂煙をあげながら執拗に走り回っていた。
浜の目の前の海はジュゴンの餌となるアマモが生い茂る海中の牧草地と言える藻場だ。
浜から泳いでいける距離にある通称シュワブ岩には、毎年この季節にはエリグロアジサシが渡ってきて巣を作る。
辺野古漁港の隣にある松田ぬ浜からフェンスを隔てて辺野古崎までの辺野古イノー(礁池)も、大浦湾と同様に命の宝庫だ。
ここを海面から高さ10メートルまで埋め立てて米軍の基地を作る。
辺野古イノーにはまだ捨て石は投下されていないが、工事に使う重機が通ったり、資材を運び込んだりする仮設道路を作るため浜に捨て石を積み上げる作業が始まっている。
ドクロ前にクレーン車が現れて、捨て石を積んだ道に上がった。
根固め用袋材が運び込まれ、捨て石の道を覆うように並べ始めた。
台風に備える作業だろう。
午前中で20個の袋材が並べられ、ドクロ前の捨て石の道の側面は一応ガードされたような格好になったが、隙間だらけである。
本当に台風の影響を考慮するのなら、慌ててこんな中途半端な長さの道を作るべきではない。台風シーズンが終わるのを待って作ればいいだけの話だ。
一番確実な台風対策は、あの捨て石の道を全部持ち帰ることだ。
このイノーが埋め立てられ、V字になった2本の滑走路を持った最新鋭の軍事基地がここに作られてしまえば、ここに住む多くの生物は死滅してしまうだろう。
自然環境の破壊だけではない。
そこから飛び立った爆撃機は世界各地で人を殺す。そして、この基地自体が敵国にとっては重要な攻撃目標となる。
この海と空が戦渦に飲み込まれた時、未来の子どもたちはここに地獄を見るだろう。
その子どもたちの瞳を借りて、今の辺野古イノーを見てみたらどうだろう?
ここはまだ楽園に見えるかもしれない。
ゴミを捨てる人、拾う人。
浜を壊す人、守る人。
命の海を殺す人、それを止める人。
戦争を呼び込む人、それを拒む人。
僕らはどうしたいのだ?
どの人になって、何を未来へ残すのか?
ここにはまだ楽園が残っている。
それを守るかどうかは、今を生きる人々の生き方にかかっている。