夢をあきらめずに

You may say I’m a dreamer. But I'm not the only one.

火曜午後 居心地のいいカフェで

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翁長さんの訃報から県知事選を終えるまでの、なんともドラマチックな展開の日々からヒトヤマ超えて、祝賀ムードも徐々に落ち着いてきた。

これが映画なら荘厳なBGMがフェードインしてエンドロールが流れ始めるところだが、現実世界ではその後の物語が今日も明日もつながっていく。

 

今回の沖縄県知事選挙はこの国の民主主義にとって、土俵際と言っていい闘いだったと僕は思っている。

今現在の沖縄の本当に切羽詰まった状況で、なりふり構わず金と人と汚いノウハウを官邸が選挙区に送り込んで力ずくで首長の椅子を奪ってしまえたのなら、今後数十年はこの国で民主的な選挙が行われる望みは絶たれたに違いない。

デニーさんの勝利は、この一点が入ればほぼ試合が決まってしまうという局面で、キーパーのスーパーセーブでゴールをギリギリ死守したようなものだ。

勝って良かった!

ウチナンチュの皆さんが力に屈せずに下した選択は本当に素晴らしかった!

だけど、試合はまだ終わっちゃいない。

エンドロールは流れない。

フィールド全体で見れば試合はかなり相手に押されているし、キーパーのスーパーセーブに頼るだけで試合に勝てるはずはない。

ここから押し返していかないと。

沖縄や福島といった最前線の現場だけに闘いがあるのではなく、この国のあらゆる場所が現場であるということを改めて肝に銘じないと。

沖縄の民主主義は最大のピンチで踏みとどまった。

どうにかしないといけないのは、沖縄や福島ではなく、この国全体の政治状況で、変えなくてはいけないのはこの国で暮らす全ての人々の意識だ。

それをやり遂げない限り、沖縄は手を替え品を替え卑劣なやり口で苦汁を舐めることを強いられ続ける。

イデオロギーアイデンティティの壁を超えて、心ある人々とつながりあって出口を目指したい。

 

9月末で、沖縄に移り住んでから早くも2年半が経った。

翁長県政というひとつの時代が終わって、僕個人もひとつの節目を越えたように感じている。

 

どんな明日へ進むのか、しっかり心を定めなければ。

 

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youtu.be

ひとり遠足

昨日はひとり遠足。

午後からパレット久茂地の『石川真生 琉球写真絵巻パート15

で、真生さん直々の写真絵巻解説を聞く。

途中少し気分が悪くなって席を外す場面もありながら、約100分間のユーモアを交えた、しかし重みのあるトーク

真生さんは真生さんのやり方で、命がけで抗っている。

どうかお身体を大事にされつつ、撮り続けて欲しい。

 

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那覇市立壺屋焼物博物館から、壺屋やちむん通りを散策していると夕暮れが近づいてきたので、沖縄県立博物館・美術館へと急ぐ。

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儀間比呂志の世界』で赤い油彩画に心が震える。

ずっと観ていたい、立ち去り難い思いに、足が止まった。

来年まで展示が続くので、もう一度観に行きたい。

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物を作り出す力は、物を壊す力と真っ向から対峙している。

故に、クリエイターが最も輝く力を発揮するのは、戦争や殺戮といった苛烈な破壊と向き合う時である。

後の祭りとなる前に

7/23 台風あけでまだ波風強く海上行動は中止。

ゲート前に座る。

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大きな捨て石を運ぶダンプの車列に混じって、埋め立てに使われる岩ずりらしきものを積んだダンプが時折見られる。

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8/17にむけて埋め立て準備は着々と進んでいる。

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7/25海へ。

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7/19に閉じた護岸の捨て石がむき出しになってる部分へ被覆ブロックを設置する作業をしている。

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沖縄防衛局によると、この被覆ブロックの設置が終われば、埋め立て区域②-1の護岸は準備が整ったことになるそうだ。

しかし、これは護岸の基礎の部分が形になっただけで、高さは設計より低い不十分な状態だ。

しかも、被覆ブロックの列は度重なる台風でズレてガタガタになったままだ。

埋め立ての外枠となる護岸の基礎がしっかり作られていない状態で、土砂投入を始めることは、出来上がる基地のクオリティを下げるに違いない。

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カヌーチームはブロック設置を阻止しようとフロートを何度も越えて、最後まで抵抗したが海保に阻まれ、止めることはできなかった。

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今週にと言われていた埋め立て承認撤回を、県知事は今日も出さなかった。

海はまだ、眼を見張るほどに美しい。

この美ら海を次の世代に受け渡すことができるのかどうかは、今にかかっている。

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(台風の荒波の影響だろうか、一部のオイルフェンスでは、中身の発泡スチロールの細かな破片がオイルフェンス表面にたくさん付着していた。この破片は海を漂って魚やウミガメなどの生物の体内に取り込まれる恐れがある)

【『いのちの海 辺野古 大浦湾』上映&トーク】に寄せて

今夜、東京 三鷹で『いのちの海 辺野古 大浦湾』上映&トークが行われた。

沖縄にいる僕は会場にかけつけることは出来なかったが、この上映会を企画してくれた友人にメッセージを送り、代わりに読みあげてもらった。

この国、特に本土で暮らすみなさんに、今僕が伝えたいことを込めて書いたつもりです。

 


上映会を開いてくれたジャックさん&ちかこさん、トークの時間に海上行動の様子を伝えてくれたみおちゃんに感謝します。

 

 

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『いのちの海 辺野古 大浦湾』上映&トークへお越しの皆さま、こんばんは。

2014年からカヌーチーム辺野古ぶるーに参加している、ヤマサキ タヲルと申します。2年前からは地元の神戸を離れ、沖縄県名護市に移り住み、働きながらカヌーメンバーとして辺野古新基地建設への抗議行動を続けています。

 


ご存知の方もいらっしゃると思いますが、辺野古ではつい先日、埋立て区域の一部が護岸で囲われてしまいました。ドーム球場1.3個分ほどの面積になるそのサンゴ礁には、多様な生き物が数多く住んでいます。外の海から切り離されたことにより、水温や水質が変化してしまい、その海域に取り残された生命の多くはもう生きてはいけないでしょう。

国は来月、そこに土砂を投入する「埋立て工事」を開始するとアナウンスしています。

危機的な状況ではありますが、この「埋立て工事」は本来の設計手順や、工事の違法性を指摘し工事中止を求めた県の行政指導を無視しながら、とにかく急いで「埋立て土砂投入」という既成事実を作り、県民をあきらめさせようとするデタラメな工事です。

正しく情報が伝わり、多くの市民の目がそこに注がれたなら、とてもまかり通ることはないと確信しています。

 


沖縄に過重な基地負担を強い、かけがえのない自然環境をためらうことなく破壊し、軍事に税金を湯水のごとく注ぎこみ、子どもたちの未来に戦争の影を落としているのは、私たちの国の政府です。

一方で国は、福島の放射能汚染地域に避難者を戻らせ、経済界の望むがままに労働環境を改悪し、戦争できる国への道づくりを着々と進めています。

これらは、個別の「沖縄問題」、「福島問題」などではありません。私たちがいくら無関心でいようとも、当事者であることを逃れられない「この国の問題」です。

どうか「沖縄を支援しよう」、「沖縄を応援しよう」とは思わないで下さい。

少し厳しい言い方かもしれませんが、沖縄を助けようとする立ち位置には、問題の当事者であることをやめてしまっている側面があります。

どうにかしないといけないのは、沖縄や福島ではなく、この国全体なのだということを、沖縄に暮らし始めてから強く感じています。

 


憲法12条には次のように書いてあります。

 

『この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。』

 

「不断の努力」とは何でしょう?

まずは知ること。

そして、それを周りの人に伝え、行動につなげていくことだと、僕は思います。

難しく考えず、今日見聞きしたことを、家族や友人に話してみてください。

「今度の休みはどこにいこうか?」という話の延長線上に、「どんな社会や、どんな未来を築いていこうか?」というテーマもきっとあるはずです。

 


未来は私たちの手の中にあります。

夢をあきらめずに、それぞれの場所で、それぞれのやり方で、不断の努力を続けていきましょう。

 


お時間を頂き、ありがとうございました。

 

 

 

山崎タヲル

『非戦・対話・NGO 国境を越え、世代を受け継ぐ 私たちの歩み』より抜粋 その6

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第7話 木口由香 『「普通の人たち」から学んだ力』

 

 

「貧民会議」が成し遂げたことの凄さは、ある程度時間が経ってわかってきた。パクムンの人たちは、しばしば抗議行動の中で「違法」な行動を取った。竹はしごをかけ数百人で首相府に入り込み、公的機関の敷地を占拠する。行動はあくまで非暴力だが、警備側を挑発し暴力を誘発させる。数百人の逮捕者やけが人が出れば、世論も村人に同情的になり、政府を事態収束のための交渉のテーブルに着かせることができた。貧しい農民たちのデモは、背後に政治家がいて日当を受け取って行われている、と蔑まれてきた。だが、パクムンの村人は数ヵ月間、時には数年にわたる行動で、自分たちの意思を示し続けた。政府から獲得した譲歩のすべてはこうした行動の結果であり、これまでのタイでは見られなかった現象だった。

ワニダーさんはよく、「法を破ることを恐れないで。法は金持ちのために作られたもので、初めから貧民に不利にできている」と住民に語りかけていた。そして貧民と共に逮捕された。世界有数の大富豪と年収数十万円の農民がいる国、人口の二割が国土の八割を所有しているタイで、法制度のすべてが国民に平等であるとは言いがたい。その法を変えるためには国会を通さなければならない。しかし、議員は貧困層の声を受けて当選しても、国会に行くと態度を変えてしまうことがほとんどだ。だからデモなどの非暴力直接行動は、貧しい人たちにとっては自分たちの声を国会に届ける唯一の手段と言っても過言ではない。一人では、あるいは一カ所では潰されてしまう声も、「貧民会議」のように多くの運動を結集させれば、社会を動かす力になる。ワニダーさんはそうした考えのもとで行動したのだろう。適法であることに縛られる日本人の私から見て、彼女の考え方は過激に思えたが、タイの状況を理解するにつれ、学ぶべきことが多いと気がついた。

 

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